状態量
カテゴリー:熱力学
熱力学を勉強していく過程で「状態量」という言葉が多く出ている。 この状態量とは一体どのようなものなのであろうか?
教科書の多くでは
熱力学において、電場や磁場がない場合、系の状態だけで一意的に決まり、 過去の履歴や経路には依存しない物理量のことである。
と書かれていることが多い。 この表現だけでは難しいので、ここではもっと簡単に説明する。
まず、状態量として良く挙げられるが以下の物理量である。
温度
圧力
密度
エントロピー
この他に内部エネルギーも状態量である。 上記の物理量の特徴として、系がある状態からある状態に変化したときに、過去の履歴を引き継がないということである。
温度が300 Kと言われればそれ以外の状態を示すことはないし、過去の履歴を知ることはない。 圧力、密度も同じである。
つまり、系の状態によって一義的に決めることができる物理量なのである。 逆に、状態量によって系の状態を決めることができる。 これによって、状態量を使った方程式
\begin{eqnarray} pV = n RT \end{eqnarray}
は状態方程式と呼ばれる。
一方で仕事や熱量は状態量ではない。 温度は300 Kと言われればそれ以外を想像することはないが、100 Jの仕事をしたと言われても、一気に力を与えたのか一旦、 力をもらってからそれを超える力を与えたのか不明である。 つまり、仕事や熱量は経路に依存するため状態量ではない。
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