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光速を超える位相速度

物理が苦手な人であっても「物体は光の速度を超えて運動することができない」という法則のことは知っていることが多いと思う。 しかし、波動の位相速度は高速を超えることがある。 これは上で示した法則を破っているのだろうか? ここでは物理的ではないかもしれないが感じだけでも掴めるように簡単に説明したいと思う。

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図1. 群速度と位相速度

「物体は光の速度を超えて運動することができない」というのはあまり正確は表現ではない。 正確ではないまでも簡単に言い換えると「光を超えて情報を運ぶことができない」と言うことである。 群速度のページでも説明したが、情報を運ぶためにはエネルギーの変化がないとわからない。 ライトを同じ強さでずっと照らしているだけでは相手は何を伝えられているのか不明である。 ライトの光の強弱をつけることでモールス信号を送ることができて相手と会話できるのである。 ラジオも同じである。 AMラジオの場合、常に振幅の変わらない波動が送られ続けてきても何の音声にも変換できない。 振幅が変わるから音声に変換できるのである。
これを踏まえると位相速度とは図1の黒の波動の特定の位置の速度であるので情報を運ぶことがない。 一方で赤の点線で示される波動の速度である群速度は内部に含む波動の振幅の変化を伴うので情報を運ぶ。 群速度に乗って位相速度を表す黒の点が運動する。 この時、しばしば位相速度は光速を超えてしまうのである。 これは位相速度は情報を運ばないので、上で示した法則に矛盾しないのである。 しかし、群速度の方は情報を運ぶので決して光速を超えることがない。 言い換えるとAMラジオ放送は、放送局から光速で観測者の元に届き、光速を超えて届いてくることはないのである。

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