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静電波

 プラズマ振動や熱運動を考慮したプラズマ振動である電子プラズマ波などは磁場がない場合を仮定して導出してきた。 また、イオン音波も同じく磁場の変動がないものとし導出されている。 静電波は、こういった磁場の変動を伴わず電場のみを振幅として伝わる波のこと言うのである。 (プラズマ振動は熱運動を考慮しないと群速度を持たないことに注意する。)

静電波と電磁波の違い

静電波とは異なり、電磁波は電場と磁場と振幅として伝搬する。 また、静電波の場合は波動の伝搬方向に電場が振動する縦波であるのに対して、電磁波は電場と磁場の振動が波動の伝搬方向に対して垂直である横波である。 このページではもう少し詳しく見てみる。
 まず静電波について考える。 マクスウェル方程式より以下の関係式を得ることができる。 \begin{eqnarray} \nabla \times {\bf E} = - \frac{\partial {\bf B}}{\partial t}\ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ (1) \end{eqnarray} ここで、電場\( {\bf E} \)がポテンシャル\( \phi \)を使って、 \begin{eqnarray} {\bf E} = - \nabla \phi \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ (2) \end{eqnarray} と表されると仮定する。これを式(1)に代入すると、勾配の回転は0になるので \begin{eqnarray} \nabla \times {\bf E} = - \nabla \times \nabla \phi = - \frac{\partial {\bf B}}{\partial t} = 0 \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ (3) \end{eqnarray} となる。つまり、式(2)のように表される電場の場合、磁場の変動を伴わないのである。 これが静電波の1つの条件である「電場のみの振動」というところに対応する。
 次に、式(1)を\({\bf E} = {\bf E}_0 + {\bf E}_1 \)、\({\bf B} = {\bf B}_0 + {\bf B}_1 \)として線形化する。 \begin{eqnarray} \nabla \times {\bf E}_1 = - \frac{\partial {\bf B}_1}{\partial t}\ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ (4) \end{eqnarray} 次に、添字1で示した摂動成分は \begin{eqnarray} {\bf E}_1 &=& {\bf E}_1 \exp \left\{ i ({\bf k} \cdot {\bf r} - \omega t ) \right\}\ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ (5) \\ {\bf B}_1 &=& {\bf B}_1 \exp \left\{ i ({\bf k} \cdot {\bf r} - \omega t ) \right\}\ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ (6) \\ \end{eqnarray} と表されるとすると、 \begin{eqnarray} \nabla &=& i {\bf k} \\ \frac{\partial}{\partial t} &=& - i \omega \end{eqnarray} と置き換えることができる。 これを式(4)に代入すると、 \begin{eqnarray} {\bf k} \times {\bf E_1} = \omega {\bf B}_1 \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ (7) \end{eqnarray} となる。 右辺は波数(波の進行方向)と振幅(振動の方向)の外積である。 もし、振動方向と波の進行方向が同じ縦波である場合、\( {\bf k} \)と\( {\bf E}_1 \)は平行となり、0となる。 ここで、静電波\( {\bf E} = - \nabla \phi \)とした場合は、磁場の変動を伴わない。 この時、式(3)と同様に式(7)は0となる。 つまり、静電波は縦波と言うことになる。
 電磁波の場合は式(7)が有限となる。 つまり、電磁波は振動方向と進行方向が垂直である横波なのである。

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