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プラズマと誘電体

カテゴリー:プラズマ物理学


プラズマは磁性体として取り扱うことは適切ではない。

では誘電体として取り扱うことはできるのであろうか? 実際に誘電体の特徴と比較しながら考察していこうと思う。


まずは誘電体の特徴から見ていく。 単位体積あたりの分極\( {\bf P} \)は、それぞれの電気双極子のモーメント\( {\bf P}_i \)の和で表される。


\begin{eqnarray} {\bf P} = \Sigma_i {\bf P}_i \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ (1) \end{eqnarray}

このように表される分極を使って電荷密度\( \rho_b \)は以下のように表される。


\begin{eqnarray} \rho_b = - \nabla \cdot {\bf P}\ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ (2) \end{eqnarray}

ここで、\( \rho_b \)は分極に寄与する電荷密度である。 もし、マクスウェル方程式に式(2)を代入するためには、誘電体内外に存在する自由な電荷による電荷密度\( \rho_f \)も含めなくてはならない。 つまり


\begin{eqnarray} \nabla \cdot {\bf E} = \frac{\rho_b + \rho_f}{\epsilon} \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ (3) \end{eqnarray}

となる。式(3)に式(2)を代入することで、以下の関係式を得る。


\begin{eqnarray} \nabla \cdot \left( \epsilon {\bf E} - {\bf P} \right) = \rho_f \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ (4) \end{eqnarray}

となる。もし、ここで、分極\( {\bf P} \)は電場\( {\bf E} \)に比例するならば


\begin{eqnarray} \nabla \cdot {\bf D} = \rho_f \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ (4) \end{eqnarray}

と表される。ここで


\begin{eqnarray} {\bf D} &=& {\bf P} - \epsilon {\bf E}\ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ (5)\\ {\bf P} &=& \chi {\bf E} \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ (6)\\ {\bf D} &=& \left( \epsilon + \chi \right) {\bf E}\ \ \ \ \ \ \ \ \ \ (7) \end{eqnarray}

である。\( \chi \)は電場と分極の比例係数である。 式(5)は分極の定義であり、特別な場合を除いてプラズマは実際に式(6)のように振る舞う。 このことから、プラズマを誘電体として取り扱うことはできるのである。


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