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プラズマと磁性体


 プラズマは磁性体として取り扱うことはできるのであろうか? 実は、プラズマを磁性体として取り扱うことはできないのである。 このページではそれを証明していこうと思う。
 磁気モーメント\( {\bf \mu}_i \)を持つ磁性体の単位体積あたりの磁化\( {\bf M} \)は、 \begin{eqnarray} {\bf M} = \frac{1}{V} \Sigma_i\ {\bf \mu}_i \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ (1) \end{eqnarray} と表される。この磁化によって、電流が生じる。 \begin{eqnarray} {\bf j}_b = \nabla \times {\bf M} \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ (2) \end{eqnarray} これは磁性体の縁を流れる束縛電流密度または拘束電流密度と呼ばれる。 これを以下に示されるマクスウェル方程式(アンペールの法則)に代入する。 \begin{eqnarray} \nabla \times {\bf B} - \mu_0 \epsilon_0 \frac{\partial {\bf E}}{\partial t} &=& \mu_0 {\bf j} \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ (3) \end{eqnarray} ここで、\( {\bf j} \)には、磁化によって作られる電流\( {\bf j}_b \)だけを代入するのではなく、自由電荷や磁性体の外を流れる自由電流\( {\bf j}_f \)を加えて代入しなければならない。 つまり、 \begin{eqnarray} \nabla \times {\bf B} - \mu_0 \epsilon_0 \frac{\partial {\bf E}}{\partial t} &=& \mu_0 \left( {\bf j}_b + {\bf j}_f \right) \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ (4) \end{eqnarray} である。式(4)を変形すると、 \begin{eqnarray} \nabla \times {\bf B} - \mu_0 {\bf j}_b &=& \mu_0 {\bf j}_f - \mu_0 \epsilon_0 \frac{\partial {\bf E}}{\partial t} \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ (5) \end{eqnarray} を得る。式(2)を使って書き直すと、 \begin{eqnarray} \nabla \times {\bf H} = {\bf j}_f - \epsilon_0 \frac{\partial {\bf E}}{\partial t} \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ (6) \end{eqnarray} となる。ここで、 \begin{eqnarray} {\bf H} = \frac{1}{\mu_0} {\bf B} - {\bf M} \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ (7) \end{eqnarray} とした。さらに、磁化\( {\bf M} \)が磁場\( {\bf H} \)に比例すると仮定すると、 \begin{eqnarray} {\bf M} = \chi_m {\bf H} \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ (8) \end{eqnarray} と表すことができる。式(8)の仮定は、磁性体に関しては\( {\bf H} \)がそれほど大きくない場合においては正しい。 つまり、磁化は磁性体に対しては磁場の大きさに(ほぼ)比例するのである。 また、\( \chi_m \)のことを磁化率と呼ぶ。
 一方プラズマの場合は、磁気モーメント\( \mu_p \)が以下のように表される。 \begin{eqnarray} \mu_p = \frac{m v_{\perp}^2}{2B}\ \ \ \ \ \ \ \ \ \ (9) \end{eqnarray} 磁気モーメントの詳しい導出方法に関しては、磁気ミラーのページを参考にして欲しい。 このことから磁気モーメントは\( \mu_p \propto B^{-1}\)となる。 つまり、プラズマの磁化\( M_p \)に関しても \begin{eqnarray} M_p \propto B^{-1} \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ (10) \end{eqnarray} ということが言える。つまり、プラズマの磁化は磁場に対して反比例するのであり、 式(8)とは矛盾する。 このことからプラズマを磁性体として考えることは適切ではない。

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