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 第1断熱不変量:磁気モーメント


 プラズマの運動を記述する上でもっとも重要な断熱不変量に磁気モーメントがある。 磁気モーメントは、 \begin{eqnarray} \mu = \frac{m v_{\perp}^2}{2B}\ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ (1) \end{eqnarray} で表され、磁場がゆっくりと変化する系ではこの磁気モーメントは一定に保たれるのであった。 このことは磁気ミラーの項目ですでに学んでいる。 では、磁気モーメントが断熱不変量であるということを証明したいと思う。
 断熱不変量は周期的運動を行う物質の一般化されあ運動量を\( p\)、その座標系を\( q \)とすると、 \begin{eqnarray} \oint p\ dq\ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ (2) \end{eqnarray} から求められる。 ここで、プラズマの周期的運動と言えばサイクロトロン運動(ラーモア運動)で、一般化された運動量は角運動量\( mv_{\perp} r_L\)となり、その座標系は\( \theta\)である。 この時、\( \theta \)はサイクロトロン運動の中心を原点としたときの、プラズマ粒子の位置ベクトルと\( x\)軸の成す角である。 もっと簡単に言えば、極座標の\( \theta \)である。 また、\( r_L\)はラーモア半径である。 式(2)をプラズマのサイクロトロン運動の場合に書き換えると \begin{eqnarray} \int_0^{2\pi} mv_{\perp} r_L\ d\theta \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ (3) \end{eqnarray} を得る。作用積分(円積分)は1周期にわたって実行すればよいのである。 この積分は簡単に解くことができて、 \begin{eqnarray} \int_0^{2\pi} mv_{\perp} r_L\ d\theta = 2 \pi mv_{\perp} r_L = 2\ pi \frac{mv_{\perp}^2}{\omega_c} = 4\pi \frac{m}{|q|} \mu \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ (4) \end{eqnarray} となる。ここで、\( \omega_c\)はサイクロトロン周波数である。 (4)で表される式がプラズマの周期運動に対して常に一定なのである。 つまり、プラズマの質量\( m \)と、電荷\( q \)が一定ならば、磁気モーメントは一定であることを証明することができた。 ちなみに、極めて特殊な状況でないかぎりプラズマの質量は変化しない。 電荷は場合によるが、電子とイオンが系の中で再結合を起こすと電荷が変化することが考えられるが、一般的なプラズマ物理の問題では変化をしないと仮定することが多い。
 また、この断熱不変量の計算にはプラズマの運動の周期、すなわちサイクロトロン周波数に対して磁場の変化がゆっくりであることを仮定している。

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