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ベクトル三重積

 3つのベクトルがある場合を考える。 2つのベクトルの外積で得られたベクトルに対して、もう1つのベクトルの外積を取るとどのようになるのであろうか?答えから始めに言うと \begin{eqnarray} {\bf A} \times ( {\bf B} \times {\bf C} ) &=& ({\bf C}\cdot {\bf A}){\bf B} - ({\bf A}\cdot {\bf B}){\bf B} \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ (1)\\ ({\bf A} \times {\bf B}) \times {\bf C} &=& ({\bf A}\cdot {\bf C}){\bf B} - ({\bf B}\cdot {\bf C}){\bf A} \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ (2)\\ {\bf A} \times ( {\bf B} \times {\bf C} ) + {\bf B} \times ( {\bf C} &\times &{\bf B} ) + {\bf C} \times ( {\bf A} \times {\bf B} ) = 0 \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ (3) \end{eqnarray} という関係式を得ることができる。 これらの関係式にことをベクトル三重積と呼ぶ。 特に式(3)のことをヤコビ恒等式と呼ばれる。 では、証明していこうと思う。
 式(1)を証明すると式(2), (3)は簡単に証明することができるので、まずは式(1)から証明していこうと思う。 ここで、\(x\)、\(y\)、\(z\)成分を全て計算すると式を大量に書かなくてはならないので、\(x\)成分だけで考える。 式(1)の左辺\( {\bf A} \times ( {\bf B} \times {\bf C} ) \)の\(x\)成分を導出する。 外積を行列式で表し、各成分を求める方法に関しては、スカラー三重積のページを参考にして欲しい。 \begin{eqnarray} & & A_y ({\bf B}\times {\bf C})_z - A_z ({\bf B}\times {\bf C})_y \\ &=& A_y (B_x C_y - B_y C_x) - A_z (B_zC_x - B_x C_z) \\ &=& A_y B_x C_y - A_y B_y C_x - A_z B_z C_x + A_z B_x C_z\ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ (4) \end{eqnarray} では右辺の\( ({\bf C}\cdot {\bf A}){\bf B} - ({\bf A}\cdot {\bf B}){\bf B} \)成分についても計算する。 \begin{eqnarray} & & (A_x C_x + A_y C_y + A_z C_z)B_x - (A_x B_x + A_y B_y A_z B_z)C_x \\ &=& A_y B_x C_y - A_y B_y C_x - A_z B_z C_x + A_z B_x C_z\ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ (5) \end{eqnarray} となる。よって、式(4)と式(5)が一致するので式(1)を証明することができた。 式(2)に関しては式(1)を証明した方法と同じ方法で証明することができる。 また、ヤコビ恒等式(3)は式(1)を使うことで簡単に証明することができるのである。 プラズマ物理学などのクーロンの法則とローレンツ力が同時に存在する場合などにおいてこのベクトル三重積は効果を発揮する。 また、 \begin{eqnarray} {\bf A} \cdot ({\bf B} \times {\bf C} ) = {\bf C} \cdot ({\bf A} \times {\bf B} ) = {\bf B} \cdot ({\bf C} \times {\bf A} )\ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ (6) \end{eqnarray} のように3つのベクトルのうち二つの外積を取り、残りのベクトルと内積を取ったものをスカラー三重積と呼ぶ。これについてはスカラー三重積のページで説明する。

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