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ニュートンの運動方程式と質点

カテゴリー:力学


力学の問題を解く上で、質点と言う概念は非常に重要なので、まずその説明から行う。

質点とは、質量を持つ点のことである。

物体の重心を質点とみなして考え、質点がどう動くかを見ることで物体の動きを知ることができる。


fig2-1-1.png

図1-2-1 天井に吊るされた鉄球


まず、図1-3-1のような天井から吊るされた鉄球を考える。

本当であれば、左図のように鉄球内の鉄原子や電子一つ一つに重力がかかるので、力が働く点である作用点が数え切れないくらいの下向き矢印で描かれるはずである。

この力を全て足し合わせたものが、鉄球にかかる重力になるが、そんなに矢印を書いていられないし、何より図が気持ち悪くなる。

そこで、物理では質点と言う概念が用いられる。

もうすでに知っている人も多いと思うが、左図の小さいベクトルを全て足し合わせて、右図のように全て一点から出るベクトルに置き換えることである。

つまり、鉄球の大きさがなく、重力や力が一点にかけられたと考えることが質点の概念である。


通常はこの質点の運動について、計算を進めていくが、鉄球がある程度大きくなってしまうと質点の概念は使えなくなる。

この場合は剛体として、物体を取り扱うことで問題を解いていくことになるのである。

剛体とは、大きさがあり、質量もあるとみなしたものである。質点との違いは大きさがあるかないかである。


基本的には力学はこの質点の運動をニュートンの運動方程式によって解き明かしていく。

ニュートンの運動方程式は


\begin{eqnarray} \frac{d}{dt} \left( m \frac{dx}{dt} \right)=F\ \ \ \ \ \ \ \ (1) \end{eqnarray}

と表される。左辺の括弧内は\( mv\)で表され、運動量を示している。

つまり、運動量の時間変化は加えられた力に等しいということである。

通常は質点の質量\( m \)は変化しないので、ニュートンの運動方程式は


\begin{eqnarray} m \frac{d^2x}{dt^2} =F\ \ \ \ \ \ \ \ (2) \end{eqnarray}

と、通常は表すことができる。この時、力学ではよく時間微分を変数の上に点をつけて表すことがある。

つまり、


\begin{eqnarray} \dot{x} &=& \frac{d}{dt} x \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ (3)\\ \ddot{x} &=& \frac{d^2}{dt^2} x \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ (4) \end{eqnarray}

と表されると言うことである。よって、運動方程式はよく


\begin{eqnarray} m \ddot{x} =F\ \ \ \ \ \ \ \ (5) \end{eqnarray}

と表されるのである。これは力学だけでなく電磁気や物理数学などの教科書で広く用いられている表記方法である。

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