期待値
カテゴリー:数学A
「さいころを投げる」や「くじを引く」と言った試行を行い、出る目や賞金などの結果を得る時、 試行の結果によって定まる量の平均的な値のことを期待値と呼ぶ。
もっとわかりやすく言えば、「1回の試行を行い、どのくらいの値が得られると期待できるか」ということである。
例えば、さいころを投げて出る目の平均は「3.5」である。これは、さいころを投げ続け、出た目を足し合わせて投げた回数で割れば得られる。
この平均値はさいころを投げる回数が多くなればなるほど3.5に近づく。
しかし、何回もさいころを振り続ける様なことを毎回行うことは難しい。
では、次にどのように期待値を求めていけばいいのか考えて。
賞金 | 本数 | |
1等 | 10000円 | 10本 |
2等 | 1000円 | 90本 |
3等 | 100円 | 200本 |
はずれ | 0円 | 700本 |
計 | 1000本 |
上の表の様なくじがあったとする。
1000本のくじがあって、それを引く時、1回引くといくらくらいの賞金が期待できるのか考えてみる。
まず、賞金の総額は、
\begin{eqnarray} 10000\times 10 + 1000 \times 90 + 100 \times 200 + 0 \times 700 = 210000 \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ (1) \end{eqnarray}
である。くじは合計で1000本であるので、1本あたりの平均の賞金額は、
\begin{eqnarray} \frac{210000}{10000} = 210 \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ (2) \end{eqnarray}
となる。 つまり、このくじの期待値は210円であることがわかる。
この期待値と売値を比較することで、どのくらいお得であるかもわかるのである。
式(1)と式(2)を使うと、期待値の求め方を以下のように変形することができる。
\begin{eqnarray} \frac{1}{1000}& & \left( 10000\times 10 + 1000 \times 90 + 100 \times 200 + 0 \times 700 \right) \\ &=& 10000\times \frac{10}{1000} + 1000 \times \frac{90}{1000} + 100 \times \frac{200}{1000} + 0 \times \frac{700}{1000} \end{eqnarray}
つまり、賞金額とその賞金額が当たる確率の掛け算の解の足し合わせで期待値が得られるのである。
もっと一般的に言うと、
変量\(X\)(さきほどのくじで言うところの賞金)の取りうる値を\( x_1,\ x_2,\ x_3,\ \cdots x_n\)として、 それらが得られる確率が、\( p_1,\ p_2,\ p_3,\ \cdots p_n\)であるとすると、\( X \)の期待値は、
\begin{eqnarray} E = x_1 p_1 + x_2 p_2 + x_3 p_3 + \cdots + x_n p_n \end{eqnarray}
で表されるのである。この時、気をつけなくてはならないのは\( p_1 + p_2 + p_3 + \cdots + p_n = 1\)である(起こりうるすべての確率でなくてはならない)。