独立な試行の確率
カテゴリー:数学A
さいころを1回振り、同時に裏と表が区別できるコインを投げる時、さいころのどの目が出るか、コインの裏表どちらがでるかは全く関係ない。
このように2つの試行の結果がお互いに影響しあうことがない時2つの試行は独立であるという。
独立な試行かどうかは確率の計算を行う際にとても有効であるが、ここで独立と排反の違いについて簡単に述べておく。
は「さいころを1回振る」や「コインを投げる」といった2つ以上の試行がお互い全く影響を与えないことであるが、 排反は、試行を行い得られた結果である事象が、お互いに共通部分を持たないことを言うのである。
独立と排反の違いがわからなくなってしまうことがあるので、注意が必要である。
では、独立に起こる確率はどのように計算できるのであろうか?
さいころとコインからは少し離れて、よく出題されるくじを例にしてみようと思う。
3本のくじがあり、その中の1本が当たりくじだったとする。そのくじを2回引く時に、2回とも当たりくじを引く確率を求める。 ただし、1回引いたくじは戻すとする。
と言う問題があったとする。
1回目にくじを引いて、2回目を引く前に1回目に引いたくじを戻すので、1回目と2回目の試行は独立である。
まずは樹形図を書いてみる。
図1. 樹形図
この樹形図から、1回目に赤色で示した当たりを引いてから、2回目も赤色で示した当たりを引く確率は、
\begin{eqnarray} \frac{1}{3} \times \frac{1}{3} = \frac{1}{9} \end{eqnarray}
から、1/9であることがわかる。
つまり、1回目の当たりを引く確率である1/3と、2回目に当たりを引く確率である1/3の掛け算で2回とも当たりを引く確率を得られるのである。
つまり、2回の独立な試行があり、それぞれの試行によって事象\( A \)と事象\( B\)が起こる確率を\( P(A) \)、\( P(B) \)とすると、 事象\( A \)と事象\( B\)が起こる確率\( P(C) \)は、
\begin{eqnarray} P(C) = P(A)\times P(B) \end{eqnarray}
で表されるのである。
つまり、このように2つの積事象の確率は、事象同士の確率の積で表すことができるのである。
事象同士が独立していない場合は、単純な掛け算では求められないので要注意である。