同じものを含む順列
カテゴリー:数学A
同じものを含む順列について解説していく。
同じものを含む順列は、重複順列と間違えられやすい。
重複順列は、同じものを何度も使っていいので、使う個数の制限が全くない順列である。
例えば、1、2、3、4の4種類の数字から3桁の整数はいくつ作れるか?などの問題は、1を何度も使ってもいいので111もあり得るし、112や114などいくらでも1を使える。
そのためこのような問題は重複順列を使う。
それに対して、同じものを含む順列は、aが3つ、bが4つ、cが1つある時、1列に並べるには何通りか?など元々同じものが何個か含まれている順列である。
図1のように赤い玉が3つ、青い玉が2つ、緑の玉が1つあるとき、これらの玉を全て使って並べる場合は何通りあるだろうか。
赤い玉の並び方
玉の合計数は6個であるので、並べる位置は、6箇所である。
赤い玉は3つでそれぞれに区別はないので、6箇所から3箇所を選んで並べることになる。
つまり、赤い玉の並べ方は\( {}_6 \mathrm{C}_3 \)である。
青い玉の並び方
青い玉は、残りの3箇所から2箇所を選ぶので、\( {}_3 \mathrm{C}_2 \)である。
緑の玉
緑の玉は残りの1箇所にしか入れないので、1通りしかない。
これらは全て同時に起こるので、
\begin{eqnarray} {}_6 \mathrm{C}_3 \times {}_3 \mathrm{C}_2 \times 1 = \frac{6\cdot5\cdot4}{3\cdot2\cdot1} \times \frac{3\cdot2}{2\cdot1} \times 1 = 120\ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ (1) \end{eqnarray}
から120通りであることがわかる。
この計算方法は、青い玉から選ぼうが、緑の玉から選ぼうが結果は同じとなる。
図1.
ここで、式(1)をもう少し注意深く見ていこうと思う。 式(1)は以下のように変形することができる。
\begin{eqnarray} {}_6 \mathrm{C}_3 \times {}_3 \mathrm{C}_2 \times 1 &=& \frac{6\cdot5\cdot4}{3\cdot2\cdot1} \times \frac{3\cdot2}{2\cdot1} \times 1 \\ &=& \frac{6!}{3!2!1!} = 120 \end{eqnarray}
つまり、総数が\( n \)で、その中に\( p \)個、\( q \)個、\( r\)個の重複があるときの並べ方の総数は、
\begin{eqnarray} \frac{n!}{p!q!r!} \end{eqnarray}
となるのである。このようにして、同じものを含む場合の順列も求めることができるのである。
\begin{eqnarray} \frac{n!}{p!q!r!s!} \end{eqnarray}
となる。重複するものの個数の階乗を分母にすればよいのである。