空集合
カテゴリー:数学A
集合\( A \)と集合\( B \)という2つの集合があり、1つも共通する要素がない時、集合\( A \)と集合\( B \)の共通部分は空集合という。
空集合は\( \varnothing \)という記号で表される。
空集合を表す記号\( \varnothing \)はノルウェー語等で用いられるアルファベットに由来しているために、ギリシャ語の\( \phi \)(ファイ)とは異なる。 (よく、参考書等でファイと記述している事があるが、これは間違いである。)
ちなみに、ノルウェー北部にトロムソという街がある。
この街はノルウェー語で書くと、Tromsøとなる。
sの後ろに空集合の文字があることがわかる。
これを英語表記にするとTromsoeとなるわけで、読み方としては「ォエ」に近くなる。
しかし、実際にこの文字を固有名詞としてはあまり読まず、日本の場合では\( \varnothing \)を「空集合(くうしゅうごう)」と読むことが圧倒的に多い。
では集合の話に戻って、集合\( A \)と集合\( B \)に共通部分がない時、
\begin{eqnarray} A \cap B = \varnothing \end{eqnarray}
と表される。
具体的な例を挙げて考えてみよう。
空集合は要素を持たないので、あり得ない設定であればなんでも空集合となる。
例えば、「100 mを0.1秒で走ることができる人間の人数」や「身長が30 mの人の人数」、「奇数と偶数の共通部分」などは全部空集合になるのである。
図1. 集合\( A \)と集合\( B \)。重なる部分が全くない。
ではここで、もう少し深く考えてみよう。
空集合は要素数が0であるので、何に0を足しても元の数字は変わらない。
それと同じように、共通要素がない集合である空集合も、すべての集合の部分集合の1つとして考える。
つまり、ある集合\( A \)を考えたとき、空集合は集合\( A \)の部分集合の1つになるわけである。
すなわち、
\begin{eqnarray}
A \supset \varnothing
\end{eqnarray}
なのである。