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電磁波としての光


 大学で光とは波であり、粒子であることを習う。 粒子の性質は量子力学で習うとして、ひとまず置いておいて、波としてどのような振る舞いをするのか見ていこうと思う。 光の性質を知る上で欠かせないのが、「電磁波」である。 電磁波とは電場と磁場が互いに直行しながら空間を伝搬していく。 一般的に馴染みが深い電磁波は電波で、携帯電話や無線通信からテレビやラジオなどにも用いられていて、我々の生活には欠かせないものになっている。 実は、光も電磁波の1つである。 光が電磁波というのは初見では理解しにくいと思うが、実は光も電場と磁場の振動によって伝わっているのである。 図1にその様子を示す。

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図1. 光の電場と磁場成分

このように光も電磁波として電場と磁場を振動させながら進んでいくのである。 ちなみに電波が進むことを伝搬ということから、光が進むことも伝搬と呼ぶことができる。 当然、電波のように光も干渉を受けたり、屈折をしたりする。 電磁波の電場と磁場は互いに直行し、位相が同じ(同相)で、両者の波長(周波数)も同じとなる。 また、電磁波の速度は光の速度と等しいのである。
 では、光は電磁波の中でどのような位置を占めているのか見ていこうと思う。 波長(周波数)の違いから電磁波は図2のように分類されている。

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図2. 電磁波の周波数と波長

高校物理で習うが、周波数が大きいということは波長が短いことを意味する。 反対に周波数が小さいと波長は長い。 どちらを基準とするかで色々ややこしくなる。 後に述べるが、波長を基準として説明すると綺麗に説明できるが、こちらでは周波数を基準として説明していく。 低い周波数(低周波)から、ELF(Extremely Low Frequency, 3 Hz–300 Hz)、ULF(Ultra Low Frequency:300 Hz–3 kHz)がある。 これらは、家庭用の電気(50, 60Hz)の周波数と同じくらいである。 ここでは深く説明しないが、周波数が高い方が山や建物に回り込んだりしなく、送れる情報量も多い。 そのため、この周波数帯はあまり利用されない。 さらに周波数が上がると、VLF(Very Low Frequency, 3 k-30 kHz)、LF(Low Frequency: 30 k-300 kHz)の周波数帯となる。 このあたりだと、水にある程度侵入できることから海面付近の潜水艦との通信や、アマチュア無線やラジオ放送にも使われだす。 300 kHz以上だと、MF(Medium Frequency, 300 k-3 MHz), HF(High Frequency, 3 M-30 MHz), VHF(Very High Frequency, 30 M- 300 MHz)となる。 この周波数帯はAM, FM, 短波ラジオととして利用される。 また、MF帯は電離層と呼ばれる高度80 km以上にある電子を含んだ大気に吸収されてしまうが、HF帯は電離層に反射される。 VHF帯は電離層を突き抜けてしまう。 300 MHz以上は今や最も重要な周波数帯となっているUHF(Ultra High Frequency, 300 M- 3GHz)、SHF(Super High Frequency, 3G- 30 GHz)となる。 この周波数は、UHFでは携帯電話、SHFではETCや無線LANに使われているなど、情報通信を用いた生活には欠かせない帯域である。 ミリ波、サブミリ波と周波数が上がり、やがて、遠赤外線、赤外線領域に到達する。
 これより高周波の、だいたい750 THzから400 THzが可視光領域である。 この周波数の電磁波であれば人間の目で検出可能である。 周波数帯が曖昧なのは、人によって見える周波数帯が異なるからである。 可視光域を波長で言い換えると、400 nmから750 nmとなる。 750 nmはほぼ赤色で、橙、黄、緑、青、水色、750 nmの紫となる。 人間が利用している電磁波の周波数の領域はかなり広いが、目で見ることのできる周波数領域はかなり狭いことがわかるだろう。 紫より、周波数が高い電磁波はX線やガンマ線と呼ばれ、主に医療用のレントゲンなどに使われる。 少し長くなったが、電磁波における光(可視光)の帯域がかなり狭いことが実感できたと思う。

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