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アンサンブル平均

カテゴリー:スペクトル解析


統計や確率の勉強をしていると、「アンサンブル平均」と「時間平均」というのがよく出てくる。

色々な教科書に出てくる割にはお互いにどう違うか全く説明がされていないことが多い。

実は、両者の違いは、平均の取り方の違いだけで、理解するのはすごく簡単なのである。

ここでは、日本各地の最高気温を例にして説明したいと思う。


                                                                                       
日本各地の2017年7月の最高気温
 場所  7/17  7/18  7/19  7/20  7/21 
東京35℃33℃31℃32℃34℃
石垣島30℃33℃33℃33℃34℃
稚内16℃18℃22℃23℃25℃


2017年7月17日から2017年7月21日の東京、石垣島、稚内の最高気温は上の表の通りであった。

ここで、平均と言われるとどのように計算すれば良いだろう?

全て足し合わせて、その数で割ればいいのだろうか?

「東京の最高気温の平均」と言われると、


\begin{eqnarray} \frac{35 + 33 + 31 + 32 + 34}{5} = 33 \end{eqnarray}

となり、33℃であると答える人が多数だろう。

「東京の17日から21日までの最高気温の平均」を取った場合、5日間を平均している。

つまり、時間で平均しているのである。

この平均の取り方は、時間平均と呼ばれ、よく用いられる平均である。


では、アンサンブル平均とはなんだろうか?

アンサンブルは、「Ensemble」とは、「一緒に」とか「全体の」を示すフランス語である。

余談だが、英語で「Ensemble!」と言うと、「集合!」と言う意味になる。

もう予想がついているかもしれないが、アンサンブル平均とは、上の表で言うと 「7月17日の日本各地の最高気温の平均」と言うことになる。

つまり、7月17日の日本各地の最高気温のアンサンブル平均は、


\begin{eqnarray} \frac{35 + 30 + 16}{3} = 27 \end{eqnarray}

となるのである。これが、アンサンブル平均である。


以上のことから、時間平均とアンサンブル平均は、


アンサンブル平均ある時点の値に対しての平均


時間平均変化するある値の時間での平均


と言う意味を持つ平均なのであり、両者はしっかり区別しなければならない。

ちなみに、時間平均とアンサンブル平均が同じである時、「エルゴード性を有する」と言う。

エルゴード性を有する場合、その特性は時間および空間に置いて一様であると言うことを意味する。

上の日本各地の最高気温の場合は、時間平均とアンサンブル平均が異なるので、エルゴード性は有しない。

これは、日本各地の最高気温が場所や時間(日時)によってかなり違うことからも想像がつくと思う。


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