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1 eVに対応する温度

カテゴリー:プラズマ物理学


プラズマ物理では通常、エネルギーを温度の次元として表す。

電気的なエネルギーを表す単位は「eV」(エレクトロンボルト)である。


1eVの温度は


\begin{equation} 1\ \mathrm{eV} = k_B T \end{equation}

と定義されている。


1 eV \( = 1.602 \times 10^{-19} \) J、\( k_B = 1.38 \times 10^{-23}\) m\(^2\) kg s\(^{-2}\) K\(^{-1}\)とすると、


\begin{equation} T \approx 11609\ \mathrm{K} \end{equation}

となる。

つまり、1 eVのエネルギーを1つのプラズマに注入すると、そのプラズマは約10000度の温度になるわけである。


しかし、温度の概念でも示したように、プラズマは集団として振る舞い、 常にマクスウェル・ボルツマン分布に従う。

つまりは、プラズマ粒子集団にエネルギーを印加したところで、 すべての粒子が同じ熱速度で運動するのではなく、マクスウェル・ボルツマン分布に従った速度分布になるのである。

よって、平均エネルギーが1 eVの粒子集団という表現が正しいのである。

平均エネルギーが1 eVの粒子集団の温度は


\begin{equation} 1 \mathrm{eV} = \frac{1}{2} m \left| u \right|^2 = \frac{3}{2} k_B T \end{equation}

の関係から、\(T=7739\) Kとなるのである。

この場合は3次元で運動するプラズマ粒子集団を考えた。


以上のように1 eVが1万度というのはただの定義であって、プラズマ粒子集団で考える(観測や実験ではこちらを使う)場合、 平均エネルギーが1 eVとされていれば、そのプラズマ粒子集団の温度は約7700 Kだということである。

これらは混乱しやすいが、分けて考えるべきなのである。

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