単位ベクトルとベクトルの成分
カテゴリー:物理数学
大きさが1のベクトルを単位ベクトルと言う。
大きさが0でない任意のベクトル\( {\bf A} \)があるとすると、\( {\bf A} \)の単位ベクトルは \( {\bf A}/ | {\bf A} | \)で表すことができる。
多くの場合は直交座標の\( x, y, z \)方向それぞれの単位ベクトル\( {\bf i}, {\bf j}, {\bf k} \) を考える(図3-8)。
以下のような単位ベクトル\( {\bf i}, {\bf j}, {\bf k} \)を直交座標系\( x, y, z \)の基本ベクトルという。
\({\bf i}\):x軸と平行(+x向き)の向きの単位ベクトル
\({\bf j}\):y軸と平行(+y向き)の向きの単位ベクトル
\({\bf k}\):z軸と平行(+z向き)の向きの単位ベクトル
図3-8 直交単位ベクトル
単位ベクトルはベクトルの成分を表す時に便利である。
例えば、\( x \)軸方向に速度\( v_x \)で進んでいる物質の速度を、直交座標のベクトルで表すと
\begin{equation}
{\bf v} = v_x {\bf i}
\end{equation}
で表すことができる。
\( y, z \)軸にも速度を持っているなら
\begin{equation}
{\bf v} = v_x {\bf i} + v_y {\bf j} + v_z {\bf k}
\end{equation}
となる。
ここで、\( v_x, v_y, v_z \)はベクトル\( {\bf v} \)の\( x, y, z \)成分(ベクトルの成分)と呼ぶ。
ベクトルを成分で表すことは、ベクトルの特性を表すのに非常に便利である。
例えば、ベクトル\( {\bf A} \)は
\begin{equation}
{\bf A} = A_x {\bf i} + A_y {\bf j} + A_z {\bf k}
\end{equation}
と表すことができ(すでに\( {\bf v} \)で示した)、ベクトル\( {\bf A} \)の大きさは三平方の定理より、以下のように表すことができる。
\begin{equation} |{\bf A}| = \sqrt{ A^2_x + A^2_y + A^2_z } \end{equation}
足し算、引き算、掛け算のベクトル成分は以下のように表すことができる。
\begin{eqnarray} {\bf A} + {\bf B} &=& (A_x+B_x,\ A_y+B_y,\ A_z+B_z) \\ {\bf A} - {\bf B} &=& (A_x-B_x,\ A_y-B_y,\ A_z-B_z) \\ a{\bf A} &=& (aA_x,\ aA_y,\ aA_z) \end{eqnarray}
この成分は、直交座標のみならず、極座標、円柱座標でも同様にそれぞれの成分で表すことができる。