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パワースペクトル密度


 フーリエ変換、逆フーリエ変換の関係は、 \begin{eqnarray} x(t) &=& \frac{1}{\sqrt{2 \pi}} \int^{\infty}_{-\infty} X(\omega) e^{i \omega t}\ d\omega \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ (1) \\ X(\omega) &=& \frac{1}{\sqrt{2 \pi}} \int^{\infty}_{-\infty} x(t) e^{-i \omega t}\ dt \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ (2) \end{eqnarray} で表されるのであった。\( X(\omega) \)は\( x(t) \)のフーリエ変換である。(その逆は逆フーリエ変換)。 エネルギースペクトルは\( |X(\omega)|^2 = X(\omega)X^*(\omega) \)で表されるのであった。 ここで、式(2)を見てみる。 もし、\( x(t) \)が\( [-T/2,\ T/2] \)の区間のみで存在する関数であった場合、\( X(\omega) \)は有限になり、エネルギースペクトルが意味を持つことがわかる。 しかし、もし\(x(t)\)が無限の区間にわたって存在する場合、\( X(\omega) \)は無限になってしまいパワースペクトルは意味を持たなくなってしまう。 そこで、区間が無限の場合には、単位時間当たりのエネルギーである、パワースペクトル密度(Power spectral density)\( P(\omega) \)を定義すると良い。 \begin{eqnarray} P(\omega) = \lim_{T \rightarrow \infty} \left[ \frac{1}{T} |X(\omega)|^2 \right] = \lim_{T \rightarrow \infty} \left[ \frac{1}{T} X(\omega)X^*(\omega) \right] \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ (3) \end{eqnarray} この式(3)は、エネルギースペクトルの時間平均を取り、その平均する時間の無限大への極限を取るのである。 では実際に、何らかの不規則変動があった場合、どのようにして式(3)からパワースペクトル密度を求めるればいいのだろうか? 実はこの式(3)を使ってパワースペクトル密度を求めることは通常せず、自己相関関数とパワースペクトル密度の関係を使った、Wiener-Khintchineの公式を使ってパワースペクトル密度を求める。 この方法については別のページで説明するので、ここでは、「パワースペクトル密度とは単位時間当たりの\( x(t) \)のパワー(エネルギースペクトル)である」という程度の理解で問題ない。