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 自己相関関数

 変数\(x,\ y\)が互いにどの程度、相関しているかを調べるためには、両者を\( x,\ y\)平面にプロットしてやれば良いのであった。 ここでは、時間変化する\( x(t) \)が図1のように周期\(T\)の周期変動であった場合を考えてみる。 \(x(t)\)が周期関数であれば、次のことが言える。 \begin{eqnarray} x(t) = x(t\pm nT)\ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ (1) \end{eqnarray} これは図1を見れば明らかだろう。 今、わかりやすいようにピークの位置で見ると、周期\(T\)後にまた同じピークがやってくる。

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図1.

つまり、周期の整数倍だけ\( x(t) \)をずらすと、元の波形と重なるのである。 図1で示された関数は、きっちりとした関数であるが、実際の信号を見て見ると、周期的変動の上に不規則変動が乗っていたりしている。 しかし、この場合でも、周期の整数倍ずらしてやるとかなり似た形になることがわかる。 よって、ある時間\( \tau \)だけずらした波形\(x(t+\tau) \)と元の波形\( x(t) \)がどの程度似ているかを調べ、変動中の周期成分を抽出するためには、\( x=x(t)\)、\( y=x(t+\tau) \)として、\(x\)と\( y\)の相関を求めればいいのである。 この時、周期の整数倍だけ\( \tau \)をずしたところで、相関が大きくなるのである。
 このように、時間に関する不規則変動を\( x(t) \)とするとき、\( \tau \)秒(時間)経った2つの変動\(x(t)\)と\( x(t+\tau) \)の積の平均値である、 \begin{eqnarray} C(t,\ \tau) = E [x(t),\ x(t+\tau)]\ \ \ \ \ \ \ \ \ \ (2) \end{eqnarray} を自己相関関数と呼ぶ。 また、自己相関関数は英語で、auto-correlation functionと呼ばれる。 ここで、\( E \)はアンサンブル平均を意味する。

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図2.

定義としては、アンサブル平均を取ることが多いが、一般的な場合は、\( x(t)x(t+\tau) \)のアンサンブル平均\( E[x(t)x(t+\tau)] \)を時間的平均\( \overline{x(t)x(t+\tau)} \)と置き換えて計算する。 また、\( \tau \)はラグと呼ばれる。 つまり、自己相関関数は、 \begin{eqnarray} C(\tau) &=& \overline{x(t)x(t+\tau)} \\ &=& \lim_{T\rightarrow \infty} \frac{1}{T} \int^{T/2}_{-T/2} x(t)x(t+\tau)\ dt \ \ \ \ \ \ \ \ (3) \end{eqnarray} と表されるのである。この時、アンサンブル平均を時間平均に置き換えたので、自己相関関数は\( \tau \)のみの関数になっていることに注意する。また、\( \tau=0 \)の時の自己相関関数で規格化したものを自己相関係数と呼び、 \begin{eqnarray} R(\tau ) &=& C(\tau) /C(0) \\ &=& \overline{x(t)x(t+\tau)}/\overline{x^2(t)}\ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ (3) \end{eqnarray} で表される。ちなみに、自己相関係数は英語でauto-correlation coefficientと表記される。

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図3.

 実際にレーダーなどの信号処理での自己相関関数の求め方について簡単に図3で説明する。 得られた信号を\(x(t)\)として分岐させ、一方を遅延回路に入れる。 遅延回路では\(\tau\)を様々な値に変化させて\( x(t) \)を遅延させ、\( x(t-\tau) \)を得る。 (遅延させるので\(\tau\)はマイナスとなる。) そして、両者を乗算回路で掛け合わせる。 その後、予想される周期\(T\)より大きい、適当な時間\( t\)で平均して自己相関関数\( C(\tau) \)を得るのである。

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