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2項定理


 例えば、 \begin{equation} (a+b)^9 \end{equation} と言う式がありこれを展開した時、\( a^9 \)の係数は1になることはすぐにわかると思うが、\( a^2b^7 \)の係数はいくつですか?と聞かれた時、すぐに答えられないだろう。 このとき、\( a^2b^7 \)の係数がすぐに求めることができる公式を与えてくれる定理を2項定理と呼ぶ。具体的には、\( (a+b)^n \)を展開した時の\( a^{n-k} b^k \)の係数は、 \begin{equation} {}_nC_r \end{equation} となるのである。(\( C \)は確率などでよく出てくるコンビネーション) つまり、\( a+b)^n \)の展開は \begin{equation} (a+b)^n = \sum_{k=0}^{n} {}_nC_k a^{n-k} b^k \end{equation} と表される。これを2項定理と呼ぶ。

考え方

 ここではできるだけわかりやすく考え方を説明しようと思う。 では初めに、もっとシンプルな場合の\( (a+b)^5 \)の\(a^2b^3\)の項の係数を求めてみよう。 5乗くらいならなんとか時間をかければ展開できそうだけど、とりえず第一段階として、以下のように展開してみる。 \begin{equation} (a+b)(a+b)(a+b)(a+b)(a+b) \end{equation} もう一回、展開しようと思ったが、ここでちょっと考えてみよう。 \(a^2b^3\)って、この式のどこからやってくるかと言うと、5つある括弧の中から\( a \)を2つ、\( b \)を3つ取り出すことでできるのである。 ということは係数はそれが何通りあるかということに一致するのではないだろうか? ここまで来るとなんだか確率の計算のときに使った\( C \)が気になり出してくる。 ここで、忘れてしまった人のために\( C \)(コンビネーション)の定義を説明する。

\( {}_nC_k \)はn個あるものの中からk個を選ぶ組み合わせの数

である。先ほどの問題に戻って、\(a\)と\(b\)をそれぞれ1つずつ含んだ5つの括弧の中から\( a \)を2つ、\( b \)を3つ取り出す組み合わせ数を求めてみる。 これを言い換えると、「5個の括弧の中から\( b \)を3個選ぶ」と言い換えることができる。残りは\( b \)を選ばないので、\( a\)になる。 するとその係数は \begin{equation} {}_5C_3 \end{equation} となり係数は20となるのである。これをすべての項で行いそれを足し合わせることで、 \begin{equation} (a+b)^n = \sum_{k=0}^{n} {}_nC_k a^{n-k} b^k \end{equation} を導けるのである。この公式が正しいことは、ちょっと大変だけど実際に展開した結果と比較することで証明できるだろう。 広告