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 連立方程式の解(行列を使った解法)


 行列の便利な使い方として、連立方程式を行列を使って解くことができるという点がある。 まず簡単な連立一次方程式について考えてみる。 \begin{eqnarray} 3 x + 4y &=& 26\ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ (4.7.1)\\ - x + 2y &=& 8\ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ (4.7.2) \end{eqnarray} 上記のような連立一次方程式があったとする。 この方程式は中学校の時に習ったように移項と代入だけで解くことができて、 その解は \begin{eqnarray} x &=& 2 \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ (4.7.3)\\ y &=& 5\ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ (4.7.4) \end{eqnarray} と求められる。 では行列でこの連立一次方程式を解いてみる。 式(4.7.1)と(4.7.2)を行列で表すと、 \[ \left( \begin{array}{cc} 3 & 4 \\ -1 & 2 \end{array} \right) \left( \begin{array}{c} x \\ y \end{array} \right) = \left( \begin{array}{c} 26 \\ 8 \end{array} \right)\ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ (4.7.5) \] となる。実際に行列を計算して右辺と左辺の成分を比較することで、式(4.7.1)と(4.7.2)を得られる。 まず、右辺の一番右の行列を \[ A = \left( \begin{array}{cc} 3 & 4 \\ -1 & 2 \end{array} \right)\ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ (4.7.6) \] とおいて、行列\( A \)の逆行列\( A^{-1} \)を求める。 \( \mathrm{det}A = 6 - (-4) = 10\)であるので、逆行列\( A^{-1} \)は \[ A^{-1} = \frac{1}{10} \left( \begin{array}{cc} 2 & -4 \\ 1 & 3 \end{array} \right) = \left( \begin{array}{cc} 0.2 & -0.4 \\ 0.1 & 0.3 \end{array} \right)\ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ (4.7.7) \] となる。この逆行列を式(4.7.5)の両辺に左から掛ける。(行列は掛ける方向が重要であるので、この場合は左から掛けなければならない。) \[ A^{-1}A \left( \begin{array}{c} x \\ y \end{array} \right) = A^{-1} \left( \begin{array}{c} 26 \\ 8 \end{array} \right)\ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ (4.7.8) \] となる。ここで、行列\( A \)とその逆行列\( A^{-1} \)の掛け合わせは単位行列\( I \)となるので、 \( A^{-1}A = I\)となる。すると、式(4.7.8)は \[ \left( \begin{array}{c} x \\ y \end{array} \right) = \left( \begin{array}{cc} 0.2 & -0.4 \\ 0.1 & 0.3 \end{array} \right) \left( \begin{array}{c} 26 \\ 8 \end{array} \right)\ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ (4.7.9) \] と書き換えることができる。 この右辺の行列の掛け算を計算すると、 \[ \left( \begin{array}{c} x \\ y \end{array} \right) = \left( \begin{array}{c} 5.2 - 3.2 \\ 2.6 + 2.4 \end{array} \right)= \left( \begin{array}{c} 2 \\ 5 \end{array} \right)\ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ (4.7.10) \] となり、行列による計算でも\(x=2,\ y=5\)を導くことができた。 この方法は行列の型が何行何列になろうと使えるので、非常に多くの変数を扱う場合、連立方程式を解くと非常に煩雑になるのだが、 行列で解くことで(比較的)楽に解くことができる。

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