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ベクトル演算子(回転・rot)    


 ベクトルの回転・rotationは以下のように定義される。 \begin{eqnarray} \mathrm{rot} {\bf A} &=& \nabla \times {\bf A} = \left( {\bf i}\frac{\partial}{\partial x} + {\bf j}\frac{\partial}{\partial y} + {\bf k}\frac{\partial}{\partial z} \right) \times \left( A_x{\bf i} + A_y{\bf j} + A_z{\bf k} \right) \\ &=& \left| \begin{array}{ccc} {\bf i} & {\bf j} & {\bf k} \\ \frac{\partial}{\partial x} & \frac{\partial}{\partial y} & \frac{\partial}{\partial z} \\ A_x & A_y & A_z \end{array} \right| \\ &=&\left( \frac{\partial A_z}{\partial y} - \frac{\partial A_y}{\partial z} \right) {\bf i} + \left( \frac{\partial A_x}{\partial z} - \frac{\partial A_z}{\partial x} \right) {\bf j} + \left( \frac{\partial A_y}{\partial x} - \frac{\partial A_x}{\partial y} \right) {\bf k} \end{eqnarray} ベクトルの回転とは、どのような意味をもつのだろうか。 次により定性的にベクトルの回転を説明する。(難しい式展開とかはしない)

“fig25.png”
図3-25 回転のイメージ図。青の矢印でベクトル、赤で水車、緑の矢印で回転ベクトルを示す。


図3-25の右図のようなx-y平面上のベクトル場を考える。今、2つのベクトルを考える。 この2つのベクトルの大きさが違った場合、または、大きさが同じでも向きが反対な場合、ベクトル通しの間に水車を置くと、この水車は回る。 次に図3-25の左図に注目する。 Aベクトルの回転・rotationで得られたベクトル\( \nabla \times {\bf A} \)の向きは回った水車の右ねじの法則の方向である。 \( \nabla \times {\bf A} \)の大きさはこの水車の回転速度が対応する。 つまり流れが早ければ早い程、\( \nabla \times {\bf A} \)のは大きくなる。 繰り返しになるが、このようにベクトルの回転とはベクトルがどの程度渦巻いているかを表すものである。 例えば、全てが同じ方向で同じ大きさを持ったベクトルしか存在しないベクトル場の場合は、どの点で回転を計算しても0になる(渦なし流)。

ベクトルポテンシャル
例えば、 \begin{equation} {\bf B} = \nabla \times {\bf A} \end{equation} で表されるベクトル\( {\bf A} \)とベクトル\( {\bf B} \)があるとき、\( {\bf A} \)を\( {\bf B} \)のベクトルポテンシャルと呼ぶ。 ベクトルポテンシャルの解釈は非常に難しいので、詳細は別の章で述べる。 成分計算をすると簡単に証明できるので、ここでは式展開は行わないが、ベクトルポテンシャルによって表されるベクトル\( {\bf B} \)の発散は0となる。 つまり、 \begin{equation} \nabla \cdot (\nabla \times {\bf A} ) = 0 \end{equation} である。
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