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 多変数のテイラー展開とマクローリン展開


 1変数の場合のテイラー展開は以下のように表すことができた。 \begin{eqnarray} f(x) &=& \sum_{n=0}^{\infty} \frac{f^{(n)} (a)}{n!} (x - a)^n \\ &=& f(a) + f’(a)(x-1) + \frac{1}{2!} f’’(a)(x-1)^2 + \frac{1}{3!}f’’’(a)(x-1)^3 + \cdots \end{eqnarray} ある関数\( f(x) \)をテイラー展開を使って級数に展開するには、\( f(x) \)の1階微分、2階微分、3階微分、、、と求めていく必要があった。 この時\( f(x) \)は1変数であったので、\(x\)で全微分すれば良いのである。 では2変数、3変数となった場合はどうすれば良いのであろうか? 式は少々複雑になるが、それぞれの変数で偏微分して、それらを足し合わせればいいのである。 つまり、2変数、3変数の場合のテイラー展開は
2変数 \begin{eqnarray} f(x+a,\ y+b) = \sum_{n=0}^{\infty} \frac{1}{n!} \left( a\frac{\partial}{\partial x} + b\frac{\partial}{\partial y} \right)^n f(a,\ b) \end{eqnarray}
3変数    \begin{eqnarray} f(x+a,\ y+b,\ z+c) = \sum_{n=0}^{\infty} \frac{1}{n!} \left( a\frac{\partial}{\partial x} + b\frac{\partial}{\partial y} + c\frac{\partial}{\partial z} \right)^n f(a,\ b,\ c) \end{eqnarray}
と表されるのである。この時、\(x,\ y,\ z=0\)として場合は原点まわりのテイラー展開であるマクローリン展開となる。
 物理において多変数のマクローリン展開はよく利用され、\( x,\ y,\ z\)を3次元空間の変数として利用されることが多い。 磁場ベクトル(\( \mathrm{{\bf B}}(x,\ y,\ z) \))を例として、3変数のマクローリン展開は \begin{eqnarray} \mathrm{{\bf B}}(x,\ y,\ z) = \sum_{n=0}^{\infty} \frac{1}{n!} \left( x\frac{\partial}{\partial x} + y\frac{\partial}{\partial y} + z\frac{\partial}{\partial z} \right)^n \mathrm{{\bf B}}(x,\ y,\ z) \end{eqnarray} となる。ここで、位置ベクトルとベクトル演算子 \begin{eqnarray} {\bf r} &=& (x,\ y,\ z) \\ \nabla &=& \left( \frac{\partial}{\partial x},\ \frac{\partial}{\partial y},\ \frac{\partial}{\partial z} \right) \end{eqnarray} を使って、磁場ベクトルのマクローリン展開の式は、 \begin{eqnarray} \mathrm{{\bf B}}(x,\ y,\ z) = \sum_{n=0}^{\infty} \frac{\left( {\bf r}\cdot \nabla \right)^n}{n!} \mathrm{{\bf B}}(x,\ y,\ z) \end{eqnarray} と綺麗に書き直せる。この展開方法はしばしば使うことになるので、覚えておいたほうがよいかもしれない。

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