トップ > 力学 > 3次元極座標(球座標)における保存力

 3次元極座標(球座標)における保存力


 原点からの距離の関数で物体にかかる力\( F(r) \)があるとき、ポテンシャルも原点からの距離の関数\( U(r) \)で表すことができる。 この時、\( F(r) \)は中心力と呼び、\( U(r) \)を中心力ポテンシャルと呼ぶ。 この中心力と中心力ポテンシャルで3次元極座標(球座標)におけるラグラジアン\( {\cal L} \)は以下のように表すことができる。 \begin{eqnarray} {\cal L} = T - U = \frac{1}{2} m \left( \dot{r}^2 + r^2 \dot{\theta}^2 + r^2\dot{\phi}^2\sin^2\theta\right) - U(r)\ \ \ \ \ \ \ \ \ (1) \end{eqnarray} この式を眺めてみると、三次元極座標のラグラジアンには\( \phi \)の項が含まれていない。 (\(\dot{\phi}\)は含まれているが、\( \phi \)は含まれていないのである。) このことから、\( \phi \)は循環座標であることがわかる。 よって、\( \phi \)を含んだラグランジュ方程式は \begin{eqnarray} \frac{d}{dt}\left( \frac{\partial {\cal L}}{\partial \dot{\phi}} \right) = \frac{\partial {\cal L}}{\partial \phi} = 0\ \ \ \ \ \ \ (2) \end{eqnarray} となることがわかる。ここで、式(1)で求めたラグラジアンを代入すると、 \begin{eqnarray} \frac{d}{dr} \left( mr^2 \dot{\phi} \sin^2 \theta \right) = 0\ \ \ \ \ \ \ \ \ \ (3) \end{eqnarray} の関係を導くことができる。 式(3)が意味するところは、\( mr^2 \dot{\phi} \sin^2 \theta \)は時間に依存せず、常に一定である保存力であるということである。 では、\( mr^2 \dot{\phi} \sin^2 \theta \)は物理的にどういう意味があるのであろうか? これは、3次元極座標において、\(x,\ y\)平面上を運動する物体の角運動量の\(z \)成分である。 ではそれを証明してみよう。
 角運動量\( {\bf L} \)は、位置ベクトル\( {\bf r} \)と運動量ベクトル\( m \dot{r} \)の外積で表される。 \begin{eqnarray} {\bf L} = {\bf r} \times \left( m{\bf \dot{r}} \right)\ \ \ \ \ \ \ \ \ \ (4) \end{eqnarray} 角運動量の\( z \)成分を書き下してみると、 \begin{eqnarray} L_z = m\left( x\dot{y} - \dot{x}y\right)\ \ \ \ \ \ \ \ \ \ (5) \end{eqnarray} となる。ここで、3次元直交座標と極座標の関係、 \begin{eqnarray} x &=& r \sin \theta \cos \phi \\ y &=& r \sin \theta \sin \phi \\ \dot{x} &=& \dot{r} \sin\theta\cos\phi + r\dot{\theta}\cos\theta\cos\phi - r\dot{\phi}\sin\theta\sin\phi \\ \dot{y} &=& \dot{r} \sin\theta\sin\phi + r\dot{\theta}\cos\theta\sin\phi + r\dot{\phi}\sin\theta\cos\phi \end{eqnarray} を代入するとこで、 \begin{eqnarray} L_z = mr^2 \dot{\phi} \sin^2 \theta\ \ \ \ \ \ \ \ \ \ (6) \end{eqnarray} を得る。式(3)と式(6)から角運動量の\(z\)成分は時間がいくら経っても変化しないのである。 これは、運動している平面に垂直な角運動量の成分は保存されることを意味している。

広告