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スネルの法則

カテゴリー:実験物理学


波は、異なる媒質に侵入するときに屈折する。

簡単な例を挙げると、空気中から水に波の一種である光が侵入すると、光の進路が変わる。

中学校で習う屈折である。

コップに挿したストローが曲がって見えるのは屈折のためである。



どの程度波は曲げられるのか?


それを示したものが、スネルの法則である。

スネルの法則とは、光が平面に入射した際の入射角と屈折角の関係を表した法則である。

では、スネルの法則を説明するために、図1のような状況を考える。


fig1-5-1.png
図1. スネルの法則


波は左上から入射してくる場合を考える。

この時、媒質Aでの光を入射波、媒質Bの光を透過波または、屈折波と呼ぶ。

媒質Aと媒質Bの境界面に対して垂直な線である法線と、入射波がなす角を\( \theta_A \)として、これは入射角と呼ばれる。

次に、透過波と法線がなす角を\( \theta_B \)として、これは屈折角と呼ばれる。

図で示したように、媒質Aでの波の速度を\( v_A \)とし、媒質Bでの波の速度を\( v_B \)とすると、以下のような関係がある。


\begin{eqnarray} \frac{\sin \theta_A}{\sin \theta_B} = \frac{v_A}{v_B} = n_{AB}\ \ \ \ \ \ \ \ \ (1) \end{eqnarray}

これがスネルの法則である。

この時、\( n_{AB} \)は媒質Aに対する媒質Bの相対屈折率と呼ばれる。

また、媒質Aと媒質Bで周波数は変化しないので、媒質Aと媒質Bでの波の波長をそれぞれ\( \lambda_A\)、\( \lambda_B\)とすると式(1)は、


\begin{eqnarray} \frac{\sin \theta_A}{\sin \theta_B} = \frac{\lambda_A}{\lambda_B} = \frac{v_A}{v_B} = n_{AB}\ \ \ \ \ \ \ \ \ (2) \end{eqnarray}

と表すことができるのである。



光の場合のスネルの法則


 

光の場合は、真空に対する物質の相対屈折率のことを絶対屈折率と呼ぶ。

つまり、媒質Aと媒質Bの屈折率を\( n_A\)、\(n_B \)とすることができる。

この時、スネルの法則を書くと、


\begin{eqnarray} \frac{\sin \theta_A}{\sin \theta_B} = \frac{\lambda_A}{\lambda_B} = \frac{v_A}{v_B} = \frac{n_B}{n_A} = n_{AB}\ \ \ \ \ \ \ \ \ (3) \end{eqnarray}

となるのである。

ちなみに、通常の光(異常光でない)場合、どのような角度、速度で入射しても\( n_{AB} \)は変化しないので、教科書でよくみる形、


\begin{eqnarray} n_A \sin \theta_A = n_B \sin \theta_B = 一定 \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ (4) \end{eqnarray}

という式を得ることができる。


fig1-5-2.png
図2. 光のスネルの法則


ちなみに図2のように2層の場合でなく、3層、4層に重なった媒質に入射する場合でも、


\begin{eqnarray} n_A \sin \theta_A = n_B \sin \theta_B = n_C \sin \theta_C = 一定 \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ (5) \end{eqnarray}

とすることができるのである。

これがよくみる光の場合のスネルの法則である。

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