凸レンズ
カテゴリー:実験物理学
凸レンズとは、中央部分が縁部分より厚みがあるレンズであり、虫眼鏡、顕微鏡、カメラなどに使われる我々の生活には欠かせないものである。
ここでは中学校で習った凸レンズの特性について説明しようと思う。
図1に点光源(光を発する点)と凸レンズを示す。
\( f \)は凸レンズの焦点である。
焦点とは、光軸(凸レンズの中心を通り、凸レンズの表面に垂直な線) に平行な光がレンズに当たった時に光が屈折して集まる点である。
この焦点は、レンズの両側に1つずつある。
そして、レンズの中心から焦点までの距離は凸レンズから見て、焦点よりも遠くに点光源がある場合
- 凸レンズに平行に入射した光は、焦点を通過する。(青線)
- 凸レンズの中心に入射した光は、そのまま直進する。(赤線)
- 焦点を通過して凸レンズに入射した光は、凸レンズ通過後に平行になる。(緑線)
尚、この法則は光の進行方向が逆からでも成り立つ。
図1. 凸レンズに入射する光の経路
つまり、上の3つの法則に従って凸レンズを通過した光は、凸レンズの向こう側で一点で交わる。
これは一度、点光源から出た光が凸レンズによって集められたからである。
点光源ではなく、ロウソクのように光を放つ、構造を持つ物体を置いた場合
図2. 凸レンズによって投影されるロウソク像
ロウソクは通常、炎の部分しか光を放たないが、ここではロウソクの白いロウの部分からも光を発せられていると考える。 (実際に部屋の光を反射し、光を発している状態になることはある。)
先ほどの凸レンズに入射する光の法則から考えると、ロウソクの炎の部分から発せされた光は、凸レンズの向こう側で一点に集中する(図2a)。
では、ここにスクリーンを置いたとしてみよう。
同様にして、ロウソクの真ん中から出た光もスクリーン上の一点に集中することがわかる。
このことから、スクリーンにはロウソクの形が映し出されるのである。
この像のことを倒立の実像と呼ぶ。
実際の物体とは上下左右が反対向きになる特徴があるので、「倒立」と呼ぶ。
実像とは、その名の通り物体から発せられた光が凸レンズを通ることで屈折し、集まってスクリーン上にできる像である。
さらに実像は物体をどの位置に置くかにより大きさが変わる。
レンズと物体の距離が、焦点より長く、焦点の2倍より短い場合、倒立の実像は実際の物体より大きくなる。
これは、レンズの公式のページで示す。
焦点より内側に物体を置いた場合
上では、凸レンズの焦点より遠くに物体が置かれた場合を考えたが、今度は物体が凸レンズと焦点の間に置かれていた場合を図3に示す。
図3. 焦点より内側に物体を置いた場合
ロウソクから出て凸レンズに平行に入射した光は、焦点を通過する。
また、レンズの中心を通過する光は直進する。
この2つの光の経路を図3の青線で示す。
倒立の実像が作られる場合は、レンズの反対側で1点に集まったが、焦点より内側に物体を置くと、その光は1点に集まるどころかどんどん広がって行ってしまう。
このため、倒立の実像のような像ができることはない。
実際に光が集まっているわけではないが、ロウソクと凸レンズの間で1点で交わるためみかけ上の像を見ることができる。
この像のことを正立の虚像と言う。
光が集まっているわけではないため、ここにスクリーンを置いても像が投影されることはないが、ロウソクと反対側からレンズを通して見るとこの正立の虚像が見えるのである。
つまり、虫眼鏡や顕微鏡を覗いて拡大された物体は、実際は正立の虚像なのである。
虚像は、実際の物体と比べて大きくなる特徴を持つ。
遠くのものは焦点より内側に置くことができないので、虫眼鏡や顕微鏡では比較的近いものしか拡大できないのである。